ごはんと女の子
―作家として活動されているアリマカナコさんですが、まず、文学や本に興味を持たれるきっかけはなんだったのでしょうか?
アリマカナコ(以下、アリマ):最初は母の読み聞かせだったんだとおもいます。物心ついた時にはもう本が好きでした。幼稚園でも新学期にはまず教室にある絵本を全て読むことからはじまりました。好きな作家とかがいるわけじゃなくて、「とにかく全部読みたい」という熱がありました。たぶん今でも自分の文体に関しては一番影響を受けているのは絵本や児童文学全般です。
―読む側から、書く側として意識が変わったのはいつからですか?
アリマ:もともと学校の授業で書く作文も好きでしたし、あと自分の能力をかんがみても、容姿に優れているわけじゃない、社交的な性格じゃない、絵も歌も踊りも演技も楽器も別に好きでも得意でもない、消去法で残ったものが「書く」だ、と気づいた時でした。
―会社員兼作家としてやっていこうとおもったのはどうしてですか。
アリマ:母子家庭だったのですが、母が営業職で、一定期間内に一定の成績を収めなければクビ、という厳しい条件の中働いていて、来月どうなっているかわからない、という不安感の中でいつも暮らしていました。なので安定した暮らしがしたい、せめて一か月後の暮らしの見通しの立つ生活がしたいとずっとおもっていたので、就活時期になった時、専業作家ないし、フリーターしながら作家というビジョンはわたしには持てなかったです。
―作家と一言で言っても色んな活動の仕方があるとおもいますが、今はどんな活動をされていますか?
アリマ:去年までは積極的に即売会には出展していたのですが、知名度のない作家の、文章媒体のオリジナル作品自体への需要の低さに対する自分の打開策がどうしても打ち出せなくて、今年は現状ひとつも即売会には出展していないです。ただやっぱり対面のリアルイベントの強さというのは感じているので、今年は、AKIBA POP DOJOで勉強会を主催してみたり
(https://akibap.com/community/458/472)
「ありまと行く!秋葉原探訪ツアー!!-メイドカフェリアルご帰宅日記編-」と題して秋葉原ツアーの自主イベント
(http://arikana.hatenablog.com/entry/2016/02/02/123000)
を開催したりしました。
今はもう一度原点に立ち返るという意味でインターネットの利用についての可能性をもう一度模索しています。一番力を入れているのはブログの更新
(http://arikana.hatenablog.com/)
Noteでの「週刊 ごはんと女の子」というマガジンの連載です。
(https://note.mu/arima08/m/mbf5867d46a72)
―「文章媒体のオリジナル作品自体への需要の低さ」に対する戦い方は、今も見つからないですか?
アリマ:具体的には、自分単位で考えても時代単位で考えても、作者自身に興味がなければ、その人の書いた文章にも興味を持たないってところがあるとおもうので、そこが鍵なのかなと感じています。
「ペンの力って今、ダメじゃん。」先日鳥越さんがそう言ってたのが結構グサッと来たのですが、それでも私は言葉は、それを発した人も受け取った人も何かをいい方向に変えることができたり、今、ここじゃない別の世界に行くことができたり、そういう力をそれでもまだ持っていると自分のこれまでの活動を通して感じているので、今この時点で需要が低いのだとしても、書くことや言葉の可能性にはこだわりたいです。